今日、一人のお客さまが「相談をしたい、話を聞いて欲しい」と言って私どものスクールを訪れてくれました。
人気ブログランキングその方は、生まれながらに聞こえない方で、現在70歳手前の男性ろう者。
私どものスクールまで、片道2時間近くをかけて楽しみに通っておられた方です。
陽気で親切で人が良く、それでいて勉強熱心な素朴な感じのする御仁。
昨年末にガンの疑いが持たれ、年初から病院検査を続けていたところでした。
そんなわけで、今年に入ってからはスクールのレッスンには顔を出さず、月に1回程度ですが、律儀にお土産を持って挨拶に来てくれていたのです。
このほど病院で結果が出たこともあり、私のところに相談に来られたというわけです。
その方は、便宜上「Iさん」としておきます。
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Iさんは、いつものようにニコニコしてスクールに入って来られました。
Iさんは、「今日も勉強はしないけど、相談したいことが沢山あって来ました。」と、手話で話されました。
私も時々「
もっちぃ」を通じて、Iさんの状況を聞いていたこともあり「もしかして、そろそろ入院されるので一旦退会されたいという相談かな?」などと思ってお話を伺いはじめました。
Iさんの話の内容は、以下のようなものでした。
・以前からガンの疑いがあり検査を続けていたが、このほど結果が出た。しかしながら、健聴(恐らく手話通訳か、手話の出来る方)は、病院での結果を詳しく教えてくれないので、私が死んでしまうのかそれとも治る見込みがあるのかがわからない。仕方が無いので、「はい、はい」と言って指示には従っているが、自分の身体のことがわからないので、とても不安な毎日を送っている。
・パソコンの勉強は楽しくて楽しくて仕方が無いので続けたいと思っているが、息子さんに「親父にはもう無理だから」と言われ、パソコンを取り上げられてしまった。また、片道2時間近くもかけて通うのは無理だからもうやめろと言われた。もし身体が健康に戻るのならば、また勉強を再開したい。
・国立のガンセンターに入院することになっているが、病院が一杯でいつ入院できるかわからない。
・私は、もう寂しくて寂しくて、とても悲しい。どうしたら良いのだろう。
Iさんは今まで誰にも話せなかったか、あるいは話しても相手にしてもらえなかったのでしょうか、堰をきったように次から次へとご自身のおかれた環境や、現在の不安で寂しい気持ちを語っておられました。
Iさんの目からは、ひっきりなしに涙が流れ頬を伝っていきました。
私は、ひたすら「うん、うん」と相槌を打って聞くだけで精一杯でした。(手話ですから、正確には「見る」ですが・・・)
そうしながら、3年前にガンで無くなった家内のお母さんのことや、私の叔父の時の記憶が時折重なっていました。
皆「生きていたい」と願いながら、亡くなっていった人達でした。
Iさんが話し終わるまで、30分くらいでした。
その後、私に助けを求めるような目で、「どうしたら良いでしょうか」と尋ねられました。
私に出来ることといえば、Iさんの味方でいて差し上げることくらいしかなさそうですが、それとて大したことは出来そうにもありません。
こちらまで、胸が締め付けられるような気持ちです。
「つらかったでしょう」
思わず私の口をついて出た言葉でした。
しかし、その一言でIさんの目からは、またどっと涙があふれてきました。
声の出せる方でしたら、きっとわーっと泣いていることでしょう。
Iさんはろうあですので、聞こえないし話せない人です。
それだけに静かではありますが、表情には声以上のものが感じられました。
私としては、結果として・・・
場合によっては医者との話を隠したり曲げたりして伝える現在の手話通訳のかわりに、私のところから通訳者を貸して差し上げても良いということと、Iさんの無事を祈って待ち続けているということくらいしか出来ませんでした。
そして、今は私たちに気兼ねをせず、ご自身の身体を良くしていこうということに専念していきましょうと。
こうなると、自分の無力さをひしひしと感じるものです。
あとは、ひたすらIさんのために、祈るしか無いものなのでしょうか・・・
いつも軽いノリの私でも、今日はさすがに重い気分です。
私って、無力なんだなぁ。
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益田さん、こんにちは!!
お気持ち、すごく判ります・・・。
私も仕事柄や怪我の経験から、ヘビーな人生相談が多いです。
中には、裁判沙汰になっているような件もあります。
答えが出せない自分に腹立たしい時も、何度もありました。
最期まで、聞くことしか私にはできません・・・。
[2006/03/16 07:40]
ヤマニ
[
編集 ]
私は父を若くしてガンで亡くしました。胃が悪い家系です。私は気をつけているつもりが、ポリープができています。父は気が弱いので、亡くなる直前まで告知しませんでした。
[2006/03/16 12:04]
さっち
[
編集 ]
(ずっきんさんへ)
おお~パソコンサポートだけかと思ったら違ったんですね。相談にのってあげたり、話を聞いてあげたり、と本当にすばらしいお方です。国民栄誉賞みたいなものを受賞してもいいぐらい・・・
[2006/03/16 12:46]
葛千代
[
編集 ]
こんばんは、中村です。
話せない、聞こえない方に対しての
対応は想像できません。
しかし、同じ人間だからこそ
伝わってくることも
たくさんあると感じました。
想いを大切にできるようにします。
ありがとうございました。
Iさんのお話を聞いてあげられるのは、きっと益田さんだけだったんじゃないでしょうか。
また、他の通訳さんを考えるとゆうのもよいのではと思いました。
あと、私としては患者さんが自分の病状や治療を知る権利があるとゆうことから、病院の医師にたいしても、もっと工夫ができたのではないかと思います。
インフォームドコンセントとゆうのが浸透しているなか、説明書を作り治療方法や副作用についての文章を渡している医師も存在しています。
どうかIさんが自分の納得のいく治療が受けられることを願っています。
息子さんにもIさんの楽しみとして、勉強などを理解していただけたらいいですね。
[2006/03/16 13:33]
ばぁでぃ
[
編集 ]
病気に関する手話通訳は難しいですね。
Iさんにとっては、不安を聞いてくれる益田さんのような人の存在はとても頼もしいものだと思います。
辛い思いを共感してくれる人がいるだけで、心が落ち着きますものね。
Iさんの回復を私も祈っています。
[2006/03/16 14:19]
おそら
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編集 ]
こんにちは!石井です。
何とも適切な言葉が思いつかないようなお話です。
でも、かがやきパソコンスクールがこの方にとって、ものすごく重要な場所になっていることがひしひしと伝わってきます。
大変な重たい仕事も受け持っているのですね。
こんな時は、みんな無力ですよね。お医者さんだけが頼りですものね。
診断結果も紙や電子ファイルでくれたら、いいのにね。
Iさんが、またパソコンの勉強ができるようになるといいですね。
[2006/03/16 17:27]
斎藤 幹雄
[
編集 ]
思わず目頭が熱くなりました。
私も肝硬変の女房を抱えてますので、Iさんの事は他人事とは思えません。
それも伝わらない・聞けないでは・・・
女房の場合癌が消える!という奇跡がありました。必要であれば紹介致します。
益田さん、頑張ってください。
[2006/03/17 02:13]
DF市川
[
編集 ]
いつもお世話になっております。
>中には、裁判沙汰になっているような件もあります。
それはまた、ヘビーですね。
>答えが出せない自分に腹立たしい時も、何度もありました。
今まさに、私がそうなっております。(^^;;
神様や仏様が居るとしたら、罪なことをするもんです。
そうだったのですか。
>父は気が弱いので、亡くなる直前まで告知しませんでした。
そういう配慮もあるのですね。
私なんかダメならダメと、はっきり言ってもらったほうが助かりますが・・・
お久しぶりですね。
お元気そうでなによりです。(^○^)
>国民栄誉賞
(⌒▽⌒)アハハ!
そんな大袈裟なものではありませんよ。
いつもお世話になっております。
>しかし、同じ人間だからこそ
伝わってくることも
たくさんあると感じました。
おっしゃるとおりだと思います。
全部を理解しようとするのは困難かと思いますが、言葉の通じない外国人でも、同じ人間ですから伝わってくることも沢山ありますしね。
困っているときに、誰にも話せないというのは、本当に辛いことだと思います。
こちらこそ、ありがとうございました。
こんにちは。
>インフォームドコンセントとゆうのが浸透しているなか、説明書を作り治療方法や副作用についての文章を渡している医師も存在しています。
それは、ありがたいですね。
そうした病院やお医者さんは、実名を挙げて賞賛しましょう。(^○^)
もっと、広がってくることを祈っております。
こんにちは!
>辛い思いを共感してくれる人がいるだけで、心が落ち着きますものね。
それで何がしかのお役に立てたのなら、私も少しは救われる感じがします。
>Iさんの回復を私も祈っています。
ありがとうございます。
私からも、お礼を申し上げたいと思います。
いつもお世話になっております。
>かがやきパソコンスクールがこの方にとって、ものすごく重要な場所になっていることがひしひしと伝わってきます。
ありがとうございます。
微力ながら、聞こえない人達に安堵していただける場としても活動を続けて行きたいと思っております。
いつもありがとう!(^○^)
早いところ、遊びに来てくださいな。
花見でもやりますか?
いつもお世話になっております。(^○^)
>私も肝硬変の女房を抱えてますので、Iさんの事は他人事とは思えません。
先日奥様のお話を伺いましたが、今も大変なご苦労だと思います。
お子様も沢山居られる中、レースという夢に向かって前向きに努力されている市川さんの姿には、私も見習うべきことが沢山ありました。
>女房の場合癌が消える!という奇跡がありました。必要であれば紹介致します。
そういうことも、あるのですねぇ~。
ぜひ教えてくださいませ。
病院通訳はホントに難しいですよね。
今は、通訳出来ないから通訳派遣に出ることはないけど、学生時代、友達と一緒に病院に付いていき、通訳してたことがあったんですが、なかなか難しかったのを覚えています。
我が家も父がガンを患ってますが、部位が部位なだけに処理?も一生続くので、父も知っています。
が、当時は、家族も何かと大変でした。
ってか、一番大変だったのは、母だったのかも…です。
[2006/03/17 06:33]
きよきよ@会社
[
編集 ]
病院通訳はホントに難しいですよね。
%B
[2006/03/17 06:37]
きよきよ@会社
[
編集 ]
こんにちは!
病院での通訳は、確かに生命の安全に関わることですから簡単なことでは勤まらないでしょうね。
大変なことだと思います。
しかし、聞こえない人にも知る権利はありますので、病院側も工夫をしてくれるとありがたいものです。
医療費の明細を有料で出そうなんて言っているうちは、まだまだダメかも知れませんが、今後に期待したいものです。
同行した通訳の方が友人なのか公的な通訳者かどうかわからないのですが、直接病院に同行した限り、細かい説明をする義務がありますね。以前にそういう質問を通訳士の方にしたことがあるのですが(癌のような深刻な病状でも)余計な情はからめず医師のいうままに伝えるという答えでした。
聞こえる聞こえない関係なく、自分の体のことがわからないのは不安ですよね
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