以前のMSNブログの時に掲載していたものです。
NPO法人東京と中途失聴・難聴者協会さんの機関紙でも、紹介していただきました。
聞こえない方のための、発音練習方法のひとつとしてご参考いただければ幸いに存じます。
「私の発音練習法」
聴力に障害のある方の中には、発音が苦手であったり出来ない方が少なからず見受けられます。
私も自分の声が良く聞こえないので、今でも音量の調節が上手くいかないことがあります。
内緒話をしても周囲に筒抜けだそうですし、私が心の中でつぶやいたはずの独り言も、回りの人はみな聞こえているそうです。
レストランなどでも、独り言で「まずいなぁ~」とつぶやいたつもりが、フロア中の注目を浴びてしまったことがあります。もっとも、私がまずいと言ったのは料理のことではなく、仕事でのことを考えていてぼやいただけでしたが・・・。レストランには、えらいご迷惑をおかけしたかと存じます。
この場を借りて、ごめんなさい。
私が発音というものに興味を持ったのは、小学校4年生頃のことでした。
学校の授業でも、よく分かる先生と何を話しているのかが分からない先生が居ることに疑問を持ったのが、発音の練習しようと思った最初だったと記憶しています。
人にモノを伝える商売の人が、話し方が下手クソでいいのか、と思い始めたのです。
私にとって、わかりやすいとか、わかりにくいというのは、はっきりとした口の動きを見せてくれる先生か、そうでない先生だったのでした。
かといって、当時の先生に「きちんと話をして欲しい」などと言えば、「しっかり聞いていればわかる」と返ってくるのがオチでしたし、下手をすれば「生意気なことを言うな」と、ビンタをされても文句の言えない環境でした。
これは、周りの大人たちにも同様なことが当てはまりました。
友人には「話し方が下手だぞ!」とは言えても、大人に対してそのような事を言えば、先生に対して言った場合と同様な結末になることは分かっていました。
もっとも小学生にこんなことを言われて、尋常でいられる大人も少なかったようです。
今でもそうでしょうか?
そこで自分が「発音のお手本」になってしまえば、みんなも自分の下手さに気づいて、自然と発音に気をつけるようになるかな、という発想が出てきて練習に励むことにしたのです。
言ってもわからない周りを変えたいのなら、まず自分からお手本にならなければならないと思ったのです。
発音や話し方のお手本としては「その道のプロの真似をするのが一番の近道」だと思い、テレビやラジオのニュース番組をお手本に、イヤホンのボリュームを最大に上げて聞きまくったものです。
そうそう、落語も大分聞きました。
まだ私が小学生の頃はカセットテープレコーダも無いことから、ただひたすらテレビやラジオの音声を聞きながら自分で真似ねる練習から始めたのです。
当時は、カセットテープレコーダーがやっと登場した頃だったと思います。しかし、一般家庭が購入できるような安価な機器ではなかったのですね。ウワサは聞いていますが、我が家にもご近所にも実物はありませんでした。
ただ、この方法だと自分で発声した声がよく聞こえないので、本当にしっかりと発音が出来ているのかがの検証が出来ないのです。
そこで、学校の休み時間などに友人達を集めてニュースのアナウンサーの真似をして、上手いとか下手だとか、似ているの似ていないのと、遊びながら評価をしてもらっていました。
そのうちに私も中学校に入り、家庭でもカセットテープレコーダーが手に入りやすくなってきた頃には、我が家にも1台導入されました。
今までに仮説として持っていたことが、実験できる環境になったわけです。
私は喜んでテレビのニュースをカセットテープに録音しました。そして、内容を暗記するまで覚えてから、自分で発音したものをカセットテープに録音します。その後、録音した自分の声を聞きなおし、アナウンサーと、どう違って聞こえるかを試しながら練習したものです。
そうこう繰り返しているうちに、中学校を卒業する頃には本物のアナウンサーに近い発声と発音を身につけられたようです。
国語の時間で、朗読をさせられるような場面は、まさに自分の出番とばかりに手を上げていたことを記憶しています。人前で話がしたくて仕方がなくて、作文も勉強し弁論大会などにも喜んで出場していたのもこの頃でした。
ただし、上手に話せるようになると、誰も私が聞こえない人だということに気がつかなくなるばかりか、聞こえないというのが冗談にしか聞こえなくなるらしいというのが、ちょっと困ったところではありましたが・・・
もっとも、発音は上手になってきたものの音量の調節が難しく、一般の人に比べ大きな声でしゃべっていたようでした。これが幸いしたことも数多くあり、今でもムリに音量調節をしないようにしています。
大きめの声ではっきりとした発音で話をすると、どうやら堂々として自信たっぷりの大物のように見えるようです。(笑)
さらに聞こえない分、相手の顔をしっかり見て話を聞きますので、迫力が増すようです。
こんな私にピッタリのアルバイトとして、大学時代にハマったのが結婚披露宴の司会者です。
これは一般の方が司会をしても同じなのですが、必要に応じて会場の係員の方がメモにして連絡をしてくれますし、余程のことが無い限り会場の参加者との双方向のコミュニケーションは必要ありません。
プロの話し方をお手本に練習してきたことから結婚式場からは重宝されるし、何しろバイト料もそれなりに良かったので、すっかりハマっていました。
今思えば「聞こえなくても、それなりに工夫しながら練習を続けてきた」お陰だと、懐かしく思います。
他人に強制されての練習だった場合には、どこまで続けられたかは自信の無いところですが、私の場合はたまたま「こうしたらどうだろう?」という自分自身の問題意識から始まって、自分を実験台に楽しみながら練習してこれたから続けてこられたものと思います。
今でも一方向の話は得意技の1つですが、耳代わりのスタッフ達に支えられて双方向のコミュニケーションも楽しんでいます。
ただ、くれぐれも聞こえないことをいいことに、相手の話も聞かずに一方的にまくしたてるようなことはしないように気をつけています。でかい声と、はっきりした発音で周囲に聞こえるようにやられたのでは、相手もかわいそうですから。
そういうわけで私は日ごろから、のんびりと心穏やかに生活するように心掛けています。健康にも良さそうですしね。目くじらをたてて生活するよりも、少しくらい脳天気なほうが楽しい気もしています。
皆さまは、いかがですか?
私は発音の練習を小学校の時からさせられていたので、苦痛でした。
最近、補聴器を新調したら、自分の声も相手の声もよく聞こえるようになって、
自分の喋り方発音も気になりかけました。
どう発音の練習をしようと思っていたときだったので、
益田さんのお話をうかがって、きれいな声や喋り方や発音の人の真似をしようと思います。
ありがとうございます。
[2005/12/02 12:37]
じょうた
[
編集 ]
とても感動しました!
今までは、苦痛に感じていたものでも、補聴器の新調をきっかけにもっと前向きな発展のできる方向へと変わっていく。
素晴らしいことだと思います。
私の体験がお役に立てるのでしたら、この上なくうれしく存じます。
どうかあせらず、少しずつでもモノになるように練習を続けていってくださいませ。
何か困るようなことがあれば、どうぞご遠慮なくご相談くださいませ。
出来る範囲ではありますが、協力させていただきたいと存じます。
頑張ってくださいませ!
フレーヾ(゜ー゜ゞ)( 尸ー゜)尸_フレーフレー
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